洗濯機を自分で分解洗浄できるのかな?
業者に頼むと高いから、できれば自分でやりたい…
洗濯槽の裏側に黒いカビが付いているとわかっていても、業者への依頼費用は1万5,000〜2万円ほどかかります。「自分でできないか」と考えるのは、ごく自然な発想です。
ただ、分解洗浄はドライバー1本で済む作業ではなく、機種によっては元に戻せなくなるリスクもあります。
そこでこの記事では、実際の失敗例も交え、洗濯機の分解洗浄を自分でやる手順と判断基準を解説します。ぜひ参考にしてください。
- 縦型の一部機種は自分で分解洗浄できる
- ドラム式・10年超の機種はプロへの依頼が最適
- 月1回の槽洗浄で分解洗浄の頻度を減らせる
洗濯機の分解洗浄は自分でできるのか

「分解洗浄」とは、洗濯槽を本体から取り外し、槽の裏側や内部の汚れを直接洗い落とす作業です。
機種のタイプによって難易度が大きく変わります。縦型とドラム式では構造が根本的に異なるため、自分でできるかどうかの判断が必要です。
そこで、ここからは洗濯機タイプ別の難易度を、次の2つにまとめて紹介します。
洗濯機の分解洗浄にかかる費用の相場を詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。

縦型の一部機種なら可能
縦型洗濯機は、洗濯槽がシャフト(軸)1本で本体底部と接続されている構造のため、ネジとナットを外すことで槽を取り出せます。
必要なのは一般的な工具セットのみで、DIY経験がある人であれば手順を確認しながら進めることができます。
メーカーや製造年によって分解方法が異なるため、事前に型番を確認し、分解手順の情報が入手できるかどうかを調べることが最初のステップです。すべての縦型機種が分解に対応しているわけではない点も押さえておいてください。
実際に「5年使った縦型洗濯機を自分で分解したら、槽裏に1cm超えの黒カビ塊がびっしり付いていた」というケースがありました。目に見えない汚れの蓄積がわかるのも、分解洗浄の大きなメリットといえます。
分解洗浄と除菌洗浄の違いを詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。

ドラム式は困難
ドラム式洗濯機は、外箱・前面パネル・ドラム・乾燥ユニットが複雑に組み合わさった構造になっています。ネジの数が縦型と比べて多く、取り外しに特殊な工具が必要な箇所もあります。
作業中に電気系統の配線に触れる箇所もあるため、感電・水漏れのリスクも無視できません。
メーカー各社もドラム式の自己分解は推奨しておらず、分解によって保証が無効になるケースがほとんどです。ドラム式の場合は、自分での分解洗浄は避け、専門業者に依頼することをおすすめします。
自分で洗濯機を分解洗浄するのに必要なもの

分解洗浄に必要な道具を事前にそろえることが、作業を安全に進める前提条件です。
道具が不足したまま途中で作業を止めると、洗濯機がバラバラのまま使えない状態になります。以下の道具をすべて手元に用意してから作業を始めてください。
- プラスドライバー(No.2サイズ)
- マイナスドライバー
- モンキーレンチまたはスパナ(槽のナット取り外し用)
- 洗面器またはバケツ(水受け用)
- 古タオルまたは雑巾(複数枚)
- 中性洗剤または酸素系漂白剤(オキシクリーンなど)
- スポンジ・ブラシ(柔らかいもの)
- カメラまたはスマートフォン(分解前の写真撮影用)
- ビニール袋または小型収納ケース(外したネジ・パーツの保管用)
道具の中でとくに重要なのがカメラです。組み立て時にどこにどのパーツが付いていたかを忘れると、元に戻せなくなります。作業前に複数のアングルから写真を撮っておくことで、復元時のミスを防げます。
洗濯機の電源プラグを必ず抜いてから作業を始めてください。水を使う作業のため、感電防止は最優先事項です。
縦型洗濯機を自分で分解洗浄する手順

縦型洗濯機の分解洗浄は、正しい順序で進めることが重要です。
手順を間違えると、必要なパーツを先に壊してしまうリスクがあります。そこで、ここからは縦型洗濯機の分解洗浄手順を、次の4つにまとめて紹介します。
1.フタ・操作パネルを外す
最初に、電源プラグを抜き、給水ホースを取り外します。次に、フタ(蓋)と操作パネルを外していきます。
操作パネルは背面または側面にネジで固定されていることがほとんどです。ネジを外した後も、配線コネクターで本体とつながっているため、強引に引っ張らないよう注意してください。
コネクターを外す前に、どの位置に差し込まれていたかをスマートフォンで写真撮影しておくことが重要です。コネクターの差し込み口を間違えると、洗濯機が正常に動作しなくなります。
パネルを取り外したら、一時保管場所(床に置いたタオルの上など)に配線が引っ張られないよう丁寧に置いておきます。
消費者庁の事故情報データバンクには、洗濯機の自己修理・分解に起因する感電・火災事故の事例が複数登録されています。電源プラグを抜いた状態での作業と、コンデンサーなどの電気部品への接触回避が重要です。
消費者庁 事故情報データバンクシステム
2.洗濯槽を取り外す
操作パネルを外すと、洗濯槽の中心部にキャップまたはカバーが見えます。キャップを取り外すと、槽を固定しているナットが現れます。
槽固定ナットは「逆ネジ(右に回すと緩む)」になっている機種が多いため、通常とは逆方向(時計回り)に回して外します。正回転で無理に回すと、ナットが潰れて取り外せなくなるため注意が必要です。
ナットを外したら、槽を真上に持ち上げます。槽は6〜10kgほどの重さがあるため、腰への負担を避けるために2人作業が理想的です。
外した槽はバスタブや大型のたらいの上に置き、汚れた水が床に飛散しないよう養生します。
【機種・メーカーによる注意点】
- パナソニック:操作パネルが背面一体型の機種が多く、フタのヒンジ部分にもネジが隠れているケースがあります。ヒンジ周辺を確認しながら外してください。
- 日立:「ビートウォッシュ」シリーズは、槽の固定方法がメーカー特有の構造になっています。ナットではなくボルト式の機種もあるため、型番を検索して対応手順を確認することをおすすめします。
- シャープ:ES型番の機種は操作パネルと側面パネルが一体化しているモデルが多く、パネル全体を一度に外す必要があります。ネジが目立たない位置に隠れていることが多いため、見落としに注意してください。
3.槽と本体内部を洗浄する
取り外した槽の裏側は、黒カビや水垢が固着していることがほとんどです。
酸素系漂白剤をぬるま湯に溶かし、槽の裏側にスポンジやブラシで塗り込むことで、カビを浮かせてから洗い流す方法が効果的です。固着した汚れは10〜20分ほど置いてから、シャワーで一気に洗い流します。
本体内部(ドラム周囲の金属部分・排水経路付近)も、古タオルで水気と汚れを拭き取ります。排水口の周辺は汚れが溜まりやすいため、ブラシを使って細部まで洗浄してください。
洗浄後は、すべての部品を完全に乾燥させてから組み立てに進みます。水分が残ったまま組み立てると、再びカビが発生しやすくなります。
実際に「分解洗浄後、乾燥が不十分なまま組み立てたら1ヶ月後に再びカビ臭が戻ってきた」というケースがありました。乾燥は半日以上かけることを目安にしてください。
洗濯機がカビ臭い原因や対処法をより詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。

4.元通りに組み立てる
洗浄・乾燥が完了したら、分解とは逆の順序で組み立てます。
槽を本体に戻し、ナットをしっかり締めます。締め付けが甘いと、脱水時に槽がぶれて異音や振動の原因になります。ナットは手で締めた後、スパナで「2分の1回転」ほど増し締めするのが適切な締め加減の目安です。
操作パネルのコネクターを先ほど撮影した写真と照合しながら差し込み、ネジを元通りに固定します。
組み立て完了後は、必ず試運転を行ってください。「洗い」「すすぎ」「脱水」を1サイクル空運転し、水漏れ・異音・エラー表示がないかを確認します。少量の水漏れでも放置すると床材や下階への被害につながるため、異変があればすぐに電源を切ってください。
自分での分解洗浄でよくある失敗

分解洗浄の失敗は、道具の扱いに慣れている人でも起こります。
失敗パターンを事前に把握しておくことで、同じ過ちを防ぐことができます。そこで、ここからはよくある失敗例を、次の3つにまとめて紹介します。
ネジやパーツの紛失・破損
分解時に外したネジやプラスチックパーツをその場に置いておくと、転がって行方不明になります。
洗濯機の底面付近での作業は床に近く、ネジが排水口の隙間に落ちたり、タオルの下に隠れたりするケースが多くあります。
外したネジは部位ごとにジッパー付きの小袋に分けて保管するのが安全です。プラスチック製のカバーやフックは、無理な力をかけると割れます。引き抜く方向を確認してから、ゆっくりと外してください。
実際に「プラスチックのツメを強引に外そうとして折ってしまい、パーツを購入し直すのに2週間かかった」というケースがありました。
組み立て後に水漏れ・異音が出る
水漏れの原因の多くは、パッキン(ゴムシール)の取り付け位置のずれか、ホースの差し込み不足です。
パッキンは溝にきっちりはめ込まれているかを目視と指で確認してから、次の工程に進んでください。
異音(金属音・振動音)が出る場合は、槽固定ナットの締め付けが甘いか、何かが槽と本体の間に挟まっている状態です。無理に使い続けると槽が傾いて、洗濯機本体の寿命を縮める原因になります。試運転で異音が出た場合は、すぐに運転を止めてナットの締め直しを行ってください。
元に戻せなくなる
「手順の写真を撮っていなかった」「コネクターの差し込み口を間違えた」という理由で、組み立てが完了できなくなるケースがあります。
分解の途中でわからなくなった場合、無理に続けるより一度立ち止まることが重要です。同機種の分解動画をYouTubeで検索すると、手順を確認できるケースが多くあります。
それでも解決できない場合は、そのままの状態でメーカーのサポートセンターに連絡するか、家電修理業者に来訪依頼することを検討してください。中途半端に組み立てた状態で使用するのは最も危険な行為です。
自分でやるかプロに頼むかの判断基準

分解洗浄を自分でやるかプロに任せるかは、洗濯機の状態と自分のスキルを正直に評価して決めることが大切です。
「費用を抑えたい」という気持ちだけで判断すると、修理費がかさむ結果になります。そこで、ここからは判断基準を、次の2つにまとめて紹介します。
自分でやるべきケース
自分で分解洗浄するのに向いているのは、縦型洗濯機で購入から5〜8年以内の機種を使っている人です。
具体的には、次の条件をすべて満たす場合に向いているといえます。
- 縦型洗濯機(ドラム式は不可)
- 購入から10年未満で本体の状態が良好
- 型番を調べて分解手順の情報が入手できる
- DIYや機械作業の経験がある
- 道具をすべてそろえられる
費用の目安として、自分で行う場合は洗剤・道具代のみで2,000〜5,000円ほどで済みます。業者依頼(1万5,000〜2万円)と比較すると、1万円以上の節約になります。
初めての場合は作業時間として3〜5時間ほどを確保することをおすすめします。
プロに依頼すべきケース
次の条件のいずれか1つでも当てはまる場合は、プロへの依頼をおすすめします。
- ドラム式洗濯機を使っている
- 購入から10年以上経過している
- 分解途中で手順がわからなくなった
- 異音・エラー表示が出ている
- 洗濯機本体に割れ・サビが見える
10年以上経過した洗濯機は、パーツ自体が劣化しているため、分解時に破損するリスクが高くなります。すでに異音やエラーが出ている場合は、カビ以外の不具合が潜んでいるため、分解洗浄だけでは解決しません。
プロの分解洗浄サービスは、洗濯槽の洗浄に加えて排水フィルター・糸くずフィルターの清掃もセットで行います。費用は1万5,000〜2万円が相場ですが、洗濯機の寿命を延ばす投資と考えると合理的な選択といえます。
実際に「購入から12年の縦型洗濯機を自分で分解しようとしたら、ナットが錆びて回らず、結局業者を呼んで倍の費用がかかった」というケースがありました。機種の製造年の確認は、判断の最優先事項です。
自分での分解洗浄によく抱く疑問

そこで、ここからは分解洗浄に関するよくある疑問を、次の3つにまとめて紹介します。
- 槽洗浄だけで十分なケースは?
- 分解洗浄は何年おきにやるべき?
- 分解に失敗したら修理業者に頼める?
槽洗浄だけで十分なケースは?
洗濯槽クリーナーを使った「槽洗浄」だけで十分なケースは、購入から3年以内で定期的に槽洗浄を続けてきた洗濯機です。
槽洗浄は、市販の洗濯槽クリーナーで槽の内部をつけ置き洗いする方法で、分解を必要としません。カビが発生し始めた初期段階であれば、月1回の槽洗浄で予防・除去が可能です。
ただし、以下の状態が見られる場合は槽洗浄だけでは対応が難しくなります。
- 洗濯物に黒い点(カビのかけら)が付着する
- 洗濯後に衣類から生乾き臭・カビ臭がする
- 槽洗浄を繰り返しても臭いが取れない
このような状態は、槽の裏側に固着したカビが原因であるケースがほとんどです。分解洗浄か、専門業者への依頼を検討してください。
国民生活センターの調査によると、洗濯機のカビ・臭いに関する相談は洗濯槽クリーナーの使用だけでは解消されないケースが多く、物理的な汚れの除去が必要と指摘されています。
独立行政法人 国民生活センター
分解洗浄は何年おきにやるべき?
分解洗浄の目安は、縦型洗濯機で2〜3年に1回です。
使用頻度や使い方によって汚れの蓄積速度は変わります。以下の習慣がある家庭では、汚れが早く蓄積します。
- 洗濯後に洗濯機のフタをすぐに閉める
- 残り湯を頻繁に使用する(雑菌が繁殖しやすい)
- 洗剤の投入量が多い(溶け残りが汚れになる)
- 柔軟剤を毎回多めに使用する
上記の習慣がある場合は、1〜2年に1回のペースで分解洗浄または業者依頼を検討してください。
月1回の槽洗浄を続けると、分解洗浄の頻度を3〜5年に1回程度に抑えられます。分解洗浄後は「乾燥コース」や「槽乾燥機能」を活用して、槽内の湿気を取り除く習慣をつけることをおすすめします。
分解に失敗したら修理業者に頼める?
分解に失敗した状態でも、家電修理業者に依頼することは可能です。ただし、追加費用と保証に関する注意点があります。
メーカー保証期間内の洗濯機を自己分解すると、メーカー保証が無効になります。修理を依頼する際は、メーカーの正規サポートではなく、独立した家電修理業者を選ぶことになります。
分解中断状態からの復元作業は、通常の分解洗浄より1.5〜2倍の工数がかかります。費用は2万5,000〜4万円前後が目安です。
依頼時には「どこまで分解したか」「どのパーツを外したか」「外したパーツはすべて保管しているか」を正確に伝えると、業者側が状況を把握しやすくなります。外したネジやパーツをすべて取っておくことが、追加費用を最小限に抑えるポイントです。
実際に「コネクターの差し込み方がわからなくなり業者に連絡したところ、写真を送るだけでアドバイスをもらえて自力で解決できた」というケースがありました。まずはメーカーのサポートセンターに電話で相談することも有効な手段です。
洗濯機を修理する際の費用相場を詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。

まとめ
縦型洗濯機であれば、正しい手順と道具をそろえることで自分での分解洗浄は可能です。作業前の写真撮影・道具の完全準備・乾燥の徹底が成功の3つのポイントです。
一方、ドラム式洗濯機・購入から10年以上経過した機種・すでに異音やエラーが出ている洗濯機は、無理に自分で行わず専門業者への依頼をおすすめします。自分でやることで節約できる金額は最大1万5,000円ほどですが、失敗した場合の修理費用はそれを大きく超えます。
槽洗浄(月1回)と分解洗浄(2〜3年に1回)を組み合わせることで、洗濯機を清潔に長く使い続けることができます。まず自分の洗濯機の型番と製造年を確認し、対応手順の情報が入手できるかどうかを判断の起点にしてください。

